THE NORM NUTRITION JOURNAL -いわきFC-
2025年7月24日
“差がつく”リカバリー - いわきFCの「栄養×水分補給」最前線 –

2023年1月、NORMはサッカーJ2リーグのいわきFCとのビジネスパートナー契約を締結した。NORMといわきFC は「栄養」の分野においてタッグを組み、血液検査の結果などをもとにした、科学的根拠に基づく栄養サポートやサプリメント提供によるトータルサポートの体制を構築している。
このコラムでは、NORMがいわきFCに派遣し栄養サポートを行う、管理栄養士/公認スポーツ栄養士・飯澤拓樹が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えする。
◆大混戦のJ2「後半戦」
J2リーグは第23節を終え、いよいよシーズン後半戦。残りは15試合となり、いわきFCは現在14位。順位表を見れば、近い順位のチーム同士の勝ち点差はごくわずかで、まさに“一戦必勝”の後半戦です。さらに、上位チームの2位から8位までが勝点3差という大混戦。毎節、順位が大きく動く緊張感の中で、チーム一丸となって戦う姿に、ファンとしても手に汗握る展開が続いています。
そんななか、現在はいわゆる「中断期間」。これまで週末ごとに試合が続いていた中で、ここで約3週間、試合のない時間が訪れました。この間、選手たちはコンディションのリセットや、ケガのケア、栄養補給を含めたリカバリーにしっかりと取り組んでいます。
今回は、そんな“夏の中断期間”直前まで連戦を戦い抜いてきた選手たちが、いかにしてパフォーマンスを維持していたのか。その鍵となる「栄養」と「水分補給」にフォーカスしてご紹介します!

◆脱水とパフォーマンスの関係性は?!
夏場のサッカーにおいて、最もパフォーマンスに影響を及ぼす要因のひとつが「脱水」。ヒトは汗をかくことで体温を調節し、コンディションを保っていますが、発汗量に対して水分摂取が追いつかない「脱水状態」になると、持久力や瞬発力に大きな影響が出てしまいます。
実際に、気温30℃を超える中で行われた第19節(Jリーグ公式サイトより)では、選手たちの負荷も一段と高まりました。

これまでの研究でも、体重の2%以上の脱水(たとえば体重70kgの選手なら1.4kg)で持久的なパフォーマンス低下が生じること、3%に及ぶと最大筋力(筋肉が発揮できる力の最大値)にも影響することが示されています1,2,3。
とはいえ、脱水の回避は簡単ではありません。たとえばJ3所属(当時)のチームを対象にした2023年の調査では、1年間の試合のうち、脱水率が2%未満に抑えられていたのは、わずか4試合、平均脱水率は2.56%でした4。つまり、プロ選手でも“理想的な水分状態”を保つのがいかに難しいかがわかります。それでも選手たちは、自分の体調と向き合いながら、ギリギリまでベストパフォーマンスを追求しているのです。
◆「こまめな水分補給」の積み重ねがパフォーマンスを守る
過酷な暑さの中でも選手が試合や練習で高いパフォーマンスを発揮するために、こまめな水分補給が重要です。練習中は、メディカルスタッフやコーチングスタッフがグラウンドの中に選手たちのドリンクを運び入れ、合間でいつでも飲めるような体制が整えられています。(石渡ネルソン選手も笑顔で運んでくれています!)

選手たちは自身の疲労度や汗のかき方、好みに合わせて、スポーツドリンクや水などを積極的に補給します。1回の練習での摂取量は数リットルに及ぶ場合も…。練習開始時には重かったクーラーボックスも、終了後にはずいぶん軽くなります。

◆いわきFC選手が飲んでいる赤いドリンクの正体は?!
試合会場で、選手たちが持っている“赤いドリンク”に気づいたことはありますか?——たとえば、堂鼻起暉選手の左手にも…?

このドリンクの正体は、「NORM PRO AMINO ACID」。いわきFCでは、すでに試合前の定番ルーティンになっています。
この製品には、持久力をサポートするビーツやβ-アラニン、さらに筋肉のリカバリーなどに関わるBCAAが配合されており、選手たちのハイパフォーマンスを支えます。水分と栄養補給を同時に行える点もポイントで、400〜500mlの水に溶かして飲むことで、試合へのコンディションを整える“最後のひと押し”になるのです。
NORMは、「NORM PRO AMINO ACID」を通じて、ピッチに立つ選手たちと、最後の一秒までともに戦っています。
◆練習が終わったら元気に食事
選手たちのコンディションやパフォーマンスを支えているのは、水分補給だけではありません。クラブハウス内のレストランでの食事も、暑さや練習・試合による疲労からの回復に欠かせない要素です。
私がチームを訪問した際には、食事中の選手たちに声をかけて、メニューの感想をヒアリングしたり、シェフと“どんなメニューなら選手が食べやすいか”、“この時期にどんな栄養素を摂ってほしいか”といった意見交換を行ったりしています。「麺類を取り入れてみよう」「スパイスを効かせた味付けはごはんが進みそう」など、選手の食欲や練習スケジュールも配慮しながら、栄養バランスを整えたメニューを試行錯誤しています。
私たちは、単に「栄養素が摂れればOK」という食事ではなく、「美味しくて、自然に栄養バランスが整う」ことを大切にしています。シェフと管理栄養士が密に連携し、チームのコンディションを食事から支えているのは、NORMの栄養サポートの、いわきFCならではの強みだと感じています。

8月からは再び、熱いJ2リーグが再開します。猛暑の中でも「90分間止まらない、倒れない」強い身体を支えるべく、私たちNORMも引き続き栄養の力でチームをサポートしていきます。皆さまも、真夏の戦いに挑むいわきFCへの熱い応援を、どうぞよろしくお願いします!
飯澤 拓樹(いいざわ ひろき) 管理栄養士、公認スポーツ栄養士、修士(スポーツ健康科学) 新潟医療福祉大学卒業、福岡大学大学院修了後、スポーツサプリメントメーカーやスポーツテック企業を経て、ノーム株式会社に入社。 現在はいわきFCやホッケー女子日本代表さくらジャパンの管理栄養士を務めるほか、ノーム契約アスリートの栄養サポート、商品企画・開発に携わる。 |
参考文献
1. Yoshida, T., Takanishi, T., Nakai, S., Yorimoto, A. & Morimoto, T. The critical level of water deficit causing a decrease in human exercise performance: a practical field study. Eur J Appl Physiol 87, 529–534 (2002).
2. Coyle, E. F. Fluid and fuel intake during exercise. in Journal of Sports Sciences vol. 22 39–55 (2004).
3. Gann, J. J., Andre, T. L., Gallucci, A. R. & Willoughby, D. S. Effects of Hypohydration on Muscular Strength,Endurance, and Power in Women. The Journal of Strength and Conditioning Research 1;35, S102–S106 (2021).
4. 飯澤 拓樹, 田中 初紀, 穂苅 敦, 齋田 良知 & 青柳 清治. J3公式試合におけるプロサッカー選手の脱水率 -2022 年シーズンの報告 -. 日本スポーツ栄養研究誌 vol.16, 14–15 (2023).