THE NORM NUTRITION JOURNAL -いわきFC-
2025年6月30日
“止まらない肉体”を支える新常識-いわきFC×NORMが挑むフィジカルの再定義-

2023年1月、NORMはサッカーJ2リーグのいわきFCとのビジネスパートナー契約を締結した。NORMといわきFC は「栄養」の分野においてタッグを組み、血液検査の結果などをもとにした、科学的根拠に基づく栄養サポートやサプリメント提供によるトータルサポートの体制を構築している。
このコラムでは、NORMがいわきFCに派遣し栄養サポートを行う、管理栄養士/公認スポーツ栄養士・飯澤拓樹が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわる様々な情報をお伝えする。
◆“止まらない”いわきFCの栄養戦略
皆さんこんにちは。ノーム株式会社、管理栄養士/公認スポーツ栄養士の飯澤拓樹(いいざわひろき)です。現在私は、明治安田J2リーグに所属する、「いわきFC」の選手の栄養サポートを行っています。
「栄養サポート」といっても、その仕事は様々な種類があります。例えば、クラブが行う血液検査の結果や食事調査を組み合わせた個別の食事指導やサプリメントの提案、クラブハウスに掲示する栄養情報資料の作成、栄養講習会の実施、遠征先やクラブハウスで選手が食べている食事のメニュー調整なども行っています。また日々のサポートでは選手だけでなく、S&Cやメディカルスタッフ、強化部やアナリストなど、様々な役割を持つ方々と関わり、選手の食環境や情報の整備に努めます。スポーツチームにおける管理栄養士の仕事の全てを挙げるとキリがありませんが、管理栄養士として選手・チームに行うすべての仕事が、「選手のパフォーマンス向上」に繋がると信じています。

このコラムでは、NORMが実施する、いわきFCへの栄養サポートについて、余すところなくご紹介したいと思います。いわきFCを応援するファン・サポーターの皆様、NORMをご愛用の皆様、そしてサッカーやその他のスポーツに取り組む若い選手やその保護者の方々に興味を持って読んでいただけたら嬉しいです。
◆サッカーという競技の過酷さ
サッカーは11人で行うスポーツで、10人のフィールドプレイヤーと、1名のゴールプレイヤー(ゴールキーパー)から構成され、90分間(45分ハーフ)の試合を戦い抜きます。現代のサッカーは試合での走行距離がどんどん長くなり、1試合の平均走行距離はおおよそ10km前後との報告も。実際に、2024年シーズンにJ1で走行距離が長い選手で、1試合当たり平均11.6km走っていました(https://www.jleague.jp/stats/j1/player/2024/all/distance/より)。また、実際の試合ではただ走っているだけでなく、加速や減速を繰り返しますし、コンタクトも発生します。また、ゴールプレイヤーもシュートセービングの際のジャンプやダイビングによって、身体に大きなダメージを負います。


このように非常に激しいサッカーのエネルギー消費量は、1試合での消費エネルギーは1,539.86 ± 130.07 kcal 1にもなり、筋肉のエネルギー源(グリコーゲン)は43%も減少2すると報告されています。
このように過酷な競技ですが、いわきFCは「90分間止まらない、倒れない」サッカーを展開しています。当然ながら、それを実現するための肉体を作る日々のトレーニングは、極めてハードです。試合だけでなく練習での消耗も大きいため、日々の栄養戦略が非常に重要になってくるわけです。
◆食事×サプリメントで理想の身体に導く
日々の練習や試合での消耗から早期に回復したり、試合に備えてパフォーマンスをさらに高めたりするためには、素早く、必要な栄養素を摂取することが重要です。そこで管理栄養士の出番です。選手たちは普段クラブハウス内のレストランで昼食や夕食を摂っていますが、私は事前にチームスケジュールを共有してもらい、選手たちに必要な栄養素(≒食品)が摂れるようなメニューを作ってもらえるようにシェフと連携します。また、現地に行った際には、食事をしている選手に声をかけ「これは食べやすい」「もっとこういう味付けにしてほしい」「こんなメニューを用意してほしい」などの意見をヒアリング、メニューに応用しています。

もちろん、すべてを食事から摂取できれば理想ですが、強度の高い運動後で固形物が食べられなかったり、暑さで食欲が低下したり、あるいは食品からでは摂取しにくい栄養素があるなど、すべてを食事から補給するのは簡単ではありません。そこでは私は、まずは食事を優先し(Meal First)、そのうえで必要に応じて適切にサプリメントを活用するという栄養戦略を取っています。
例えば、練習後すぐにたんぱく質を補給し、筋肉の回復や成長を促したいときには、PROTEINが有効ですし、食事だけでなかなか補えないビタミンやミネラル(VITAMIN&MINERAL)や、筋肉痛や疲労によるパフォーマンス低下を抑えることが期待されるフィッシュオイル3,4(EPA OIL)などの栄養素を補完させるために、チームの食事会場では個々に摂取できるような環境が整っています。

いわきFCでは定期的な血液検査を実施しているため、「取り組んだ栄養サポートが実際に効果的だったのか」を検証することができます。
シーズンも折り返し。選手のパフォーマンス向上や身体作りのため、NORMのこれまでの知見や経験をフルに生かしながら、全力でサポートします!皆様も引き続き、いわきFCの応援をよろしくお願いいたします!!
飯澤 拓樹(いいざわ ひろき) 管理栄養士、公認スポーツ栄養士、修士(スポーツ健康科学) 新潟医療福祉大学卒業、福岡大学大学院修了後、スポーツサプリメントメーカーやスポーツテック企業を経て、ノーム株式会社に入社。 現在はいわきFCやホッケー女子日本代表のほか、ノーム契約アスリートの栄養サポート、商品企画・開発に携わる。 |
参考文献
1. Danusa Dias Soares, João C. Marins, João B. Ferreira Júnior & Daniel Coelho. Energy expenditure estimation during official soccer matches. Brazilian Journal of Biomotricity 4, 246–255 (2010).
2. Krustrup, P. et al. Muscle and blood metabolites during a soccer game: Implications for sprint performance. Med Sci Sports Exerc 38, 1165–1174 (2006).
3. Van Dusseldorp, T. A. et al. Impact of varying dosages of fish oil on recovery and soreness following eccentric exercise. Nutrients 12, 1–15 (2020).
4. Maughan, R. J. et al. IOC Consensus Statement: Dietary Supplements and the High-Performance Athlete. Int J Sport Nutr Exerc Metab 28, 104–125 (2018).